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ニュース


ICPE2023 in Halifax,Nova Scotia,Canada 学会報告



8月23日-27日にカナダのハリファックスで開催された 39th International Conference on Pharmacoepidemiology & Therapeutic Risk Management(ICPE)の参加報告です。ICPEは薬剤疫学分野で最大規模の国際学会であり、アカデミア・企業・規制当局などから約1500名の専門家が参加しました。当分野からは助手 邱士韡、D2 鎌田悠太、D2 田代祥之の3名が参加し、鎌田と田代がそれぞれポスター発表を行いました。

23日-24日には、Pre-Conference Courseが開催され、初中級者向けの教育セッションを2日間にわたり受講しました。
講義内容は“ Introduction to Drug Utilization Research ”や“ Foundations in Causal Inference ”といった初学者向けのものから、未測定交絡に対処するための研究デザイン、ワクチンの安全性調査の話題、薬剤疫学への機械学習の導入など薬剤疫学をすでに実践している中級者向けの講義が開催されました。未測定交絡の対処法に関するセッションでは、操作変数を用いた手法に関する紹介も行われました。操作変数は経済学でおもに利用されていた手法ですが疫学研究においても有用な場合が存在します。利用する場合、適切な操作変数を選択すること、操作変数と曝露の関連が十分にあること、操作変数ごとに共変量バランスを確認することが重要であることが、分かりやすく解説されました。

プログラム本体は、25日から3日間の日程で開催されました。リアルワールドエビデンスに関する当局の取り組み、Estimand と Emulating a target traial に関する話題など当該領域の最新情報を収集することができました。別の話題としては、解析コード共有公開についてのセッションが行われました。このセッションではコード公開が推奨される現実とそれを阻む障壁について参加者を巻き込んでディスカッションがされました。現在、規制当局の意思決定において、リアルワールドエビデンスの重要性の高まりとともにその透明性も重要になっており、独立した検証や再現のために解析コードの共有が推奨されています。しかし、現時点ではすべての研究でコードが公開されているわけではありません。本セッションでは、リアルタイムで参加者にコード共有に関するアンケートを行い、さまざまな立場からコード共有への意識と奨励を阻む障害についてディスカッションが行われました。特に時間的要件や著作権など初心者への論文投稿のハードルを上げてしまう側面については、様々なバックアップが必要であることを感じました。

世界的猛威を振るったCOVID-19パンデミックから数年が経ってなお、COVID-19に関する疫学研究、およびワクチンの安全性研究に関する報告が多数見られました。世界規模で疫学の重要性が再認識されたことを実感しています。ICPEではワクチン研究デザインに関する基礎講演を設定しており、そして、ワクチン研究に関する基礎講座も引き続き設定されており、学ぶには非常に良い機会となりました。

来年は、ドイツのベルリンにおいて、8月24日-28日の日程で開催予定です。


<ポスター発表の様子>

●筆頭発表者|鎌田 悠太
東北大学大学院医学系研究科 医学統計学分野 博士課程
『Burden of Narcolepsy from the Perspectives
 of Direct Medical Cost and Comorbidity in Japan』

ICPE 2023 写真1


●筆頭発表者|田代 祥之
東北大学大学院医学系研究科 医学統計学分野 博士課程
『A comparative safety study of generic alendronate tablet using claims database』

ICPE 2023 写真2


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