• 教室紹介
  • 研究/教育概要
  • スケジュール
  • スタッフ
  • データセンター
  • 研究業績
  • リンク
  • Facebookページ 東北大学大学院 医学系研究科 医学統計学分野

ニュース


PaCCSC Annual Research Forum参加とPoCoG訪問


2018年3月16日
東北大学大学院 医学統計学分野 教授
山口 拓洋

 今年も2月25日〜3月4日に、オースラリアの緩和ケア領域の多施設臨床試験グループである Palliative Care Clinical Study Collaborative(PaCCSC)の Annual Research Forum への出席と University of Sydney を母体としているサイコオンコロジーの研究グループである Psycho-Oncology Co-operative Research Group(PoCoG)に訪問致しました。

 PaCCSC Research Forum は、今年で9回目を迎え、昨年に引き続き日本からも2演題の発表がありました。ひとつは、小生が試験統計家を担当している早期緩和ケア介入のRCT(UMIN000025491;J-SUPPORT1603)について、研究代表者の国立がん研究センター 松本禎久先生からご発表がございました。オーストラリアでもPearl Study(ACTRN12617000166370)として肺がん患者を対象に同様のデザインのRCTが進行中であり、早期緩和ケア介入の有用性については、米国から報告されたTemelらの先行研究に対して、各地域での実臨床でのセッティングにおいて検証が進められているようです。もうひとつは、がん患者の神経障害性疼痛に対するデュロキセチンのRCT(UMIN000017647;JORTCーPAL08)と次相試験のデザインについて、近畿大学所属で、現在University of Technology Sydneyに留学中の松岡弘道先生より発表がございました。次相試験では、日豪の国際共同臨床試験が計画されており、緩和ケア領域では日本としては初となる国際共同臨床試験になるため、これまでのPaCCSCとの交流の次ステージとして、All Japanでの体制を組み、実施されることが期待されています。
 今年の Research Forum のホットトピックとしては、オーストラリアでは数年前から規制緩和された医療用大麻の臨床試験があり、食欲不振、痛みなどの症状に対して、臨床研究が進められております。日本においては、国内法の関係で、臨床研究が実施できない状況にありますが、海外では急速に医療応用に対しての規制緩和、研究が進んでいる状況にあり、日本においても、規制や研究の進め方に対して建設的な科学的議論をすべき時期に来ていることを実感いたしました。
 また、PaCCSCでは緩和ケア分野以外の支持療法領域に関する臨床研究についても領域横断的に推進すべく、Cancer Supportive Care Clinical Studies Collaborative(CSCCSC)というグループを設立させ、実施体制の整備を進めているようです。

 PoCoG訪問では、設立者のProf. Phyllis Butowと事務局長のDr. Joanne Shawにお時間をいただき、サイコオンコロジー領域で多施設臨床研究の基盤を築く過程で苦労した点など、今後の同領域での臨床試験体制整備で参考となる多くの助言をいただきました。また、昨年に引き続きPoCoGの関連部門であるQuality of Life Officeにも訪問し、Prof. Madeleine KingとDr. Rebecca Mercieca-bebberを交えて、研究協力をいただいている案件についての研究相談を行いました。Prof. Kingは、今年9月に来日が予定されており、東京大学臨床試験データ管理学講座と連携して企画しているPRO研究関連のセミナーでご講演いただく予定です。

緩和ケアや支持療法などの領域で、オーストラリアの臨床研究グループとの友好・協力関係を築いており、今後は具体的な共同研究に結びつけていきたいと考えております。


写真1.University of Technology Sydneyの松岡先生のオフィスにて
PaCCSC&PoCoG(2018.2.27in Sydney,Australia)No.1

写真2.University of SydneyのQuality of Life Officeでの記念撮影
〜King教授とRebeccaさんを交えて
PaCCSC&PoCoG(2018.2.27in Sydney,Australia)No.2